おなまえ Eメール タイトル メッセージ > 「…さて、住む場所も決まったことだし…何か食べる?」 > 「い、いえ!もう夜も遅いですし!」 > > 流石にそこまでしてもらうのは気が引ける > 時刻はとうに十時を回っているのだ > > 「気にしないの、私が好きでやっているんだから」 > 「そ、それでも『くぅ』…あぅ」 > 「あら、可愛い音」 > > 意図せぬ食欲の誇示に顔を真っ赤にする明日香 > 体は正直とは良く言ったもので、肉体は栄養を欲しているようだ > > 「まっ、お腹が空くのは元気な証拠よ、今作ってくるから、待っててね」 > 「はい…」 > 「ご主人様の料理は絶品ですよ!」 > 「…はい、楽しみにしてます」 > 「じゃ、期待に添えるよう頑張らないとね」 > > そう言って、ルティさんは部屋を去る > ココナさんは部屋に残り、近くの椅子に腰かけた > > 「じゃ、改めまして、ココナ・アンダンテです」 > 「じゃあ、私も、成城院明日香です」 > 「よろしくおねがいします、明日香さん!」 > 「こちらこそ…」 > 「あぁ、もう敬語じゃなくてもいいですよ? > 明日から家族なんですから!」 > > ココナの優しさと純粋さが溢れる様な顔を見ていると不思議と緊張が休まるような感じがした > > 「…うん、じゃあ宜しく!」 > 「はい!」 > > > 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 > > > 「そういえば、明日香さんはウチで飼っている猫さんと名前が一緒ですね」 > > 話し始めてから数分、ココナがそんな事を言い始めた > > 「ね、猫?」 > > 犬(正確には亜人種だが)なのに…猫…? > > 明日香は不意に、とある企業のキャラクターが猫なのに猫を狩っている事実を思い出した > > 「あ、何か失礼なこと考えてませんか?」 > 「!?ぜ、全然そんな事ないよ!?」 > 「…本当ですか?まぁいいです > 話に戻りますけど、ウチで飼っている猫の名前もアスカっていうんですよ」 > 「へぇ…奇遇ね」 > 「はい…っと、ちょうど良い所に」 > > おいでー、とココナが手招きをすると、ドアの隙間から首に鈴を巻いた一匹の子猫が姿を現した > > 「この子がアスカです」 > 「お、可愛い…」 > > にゃー、とココナの膝の上で鳴く、可愛い > だが、記憶の片隅に何か違和感を覚えた > > 「…?」 > 「どうしたんですか?」 > > 記憶に引っかかる > 何かが引っかかる > この毛並み、色、大きさ………あ > > 「あっー!!」 > 「うひゃい!?」 > 「ど、どうかしたの!?」 > > 思わず明日香は声を上げる > それに反応してルティがキッチンから飛び出してきた > > 「え、あ、あぁ?すいません、この猫見たらつい…」 > 「アスカがどうかしたの?あ、そういえば同じ名前ね」 > 「それもそうなんですけど…この猫、私がトラックに撥ねられる寸前に見た猫と同じ猫で…」 > 「え?アスカがですか?」 > 「うん」 > > 間違いない、この猫だ > 同じ色に体格、というだけかもしれないが、それにしたってそっくり過ぎる > > 「へぇ…その猫、一か月くらい前にシリルが連れてきた猫となのよ」 > 「シリル?」 > 「あぁ、ごめん。ウチの家族の一人なの > 今はまたもう一人の家族、ミリルと隣町まで出かけてるのよ」 > 「そうなんですか…」 > 「そういえば、あの猫拾ってきた位からシリルは雰囲気が少し変わったわね > 強くなったって言うか…大人びたっていうか…どうしてかは知らないけど」 > 「はぁ…」 > 「まぁ、そこら辺はおいおい調べていきましょうか > 今はごはんよ、ごはん」 > 「…すいません、本当に」 > 「いいのいいの、多く作ったからココナも少し食べる?」 > 「あ、はい、貰いますご主人さま!」 > > 開いたドアから良い匂いが漂ってくる > 何が出てくるんだろうか、異世界だから私の世界とは違うトンデモ料理か、知らない食材で作られた知らない料理に違いな― > > 「はい、お粥よ」 > > ―そんな風に思っていた時代が、私にもありました > > 「…どうも」 > 「あれ?お粥駄目だった?だったら…」 > 「あ、いえ!そうじゃなくて…その…何と言うか…あの…」 > 「?」 > 「…違う世界だから、もう少し知らない料理でも出てくるのかと…」 > 「あぁ、何だ、そういうことね > 嫌いなものを出しちゃったかとヒヤヒヤしたわ」 > 「すいません…なんか」 > 「謝る必要なんてないわよ、少しの期待くらいなんて誰でもするもの > そこが知らない土地だったら尚更ね」 > 「はい…じゃあ、いただきます」 > 「はい、めしあがれ」 > > スプーンを手に取り、お粥をすくう > 息を吹きかけて冷まし、口に運んだ > > 「…あ、美味しい」 > 「私もです、ご主人さま」 > 「そう、良かった♪」 > > 小さくカットした野菜が入っている以外特別な味付けは何もしていないであろうそのお粥は、何処か優しく、懐かしい味わいを醸し出している > > 「…というかあるんだ、お米」 > 「そっちにもあるの?」 > 「はい、主食です > あとは…小麦っていうのを使ったパンっていうのが」 > 「あぁ、それこっちにもありますよ」 > 「…異世界って一体…?」 > > 異世界の定義というものについて軽く脳内会議していると、ルティが少量のお粥が入っていた皿を置いて言った > > 「食べ物とカが近い辺り、割と近い世界なのかもね > 明日になったらまた色々お話しましょう?」 > 「…はい」 > 「いっぱいお話しましょうね、明日香さん!」 > 「うん!」 > > > 何も良く分からないまま、自分が知らない世界に落ちた > 少し怖い思いもしたけど、とても優しい人たちとも出会えた > 自分の世界にいち早く戻りたい、両親に会いたいと強く思う > けど、この世界も、少し位居てもいいかなって思った > > 拝啓、違う世界にいるお父さんお母さん > 私は今違う世界にいます > 帰れる保証はないけれど、自然と不安はありません > 絶対に帰れる、そんな気がします > なので、首を長くして待っていてください > > 娘は、少し旅行をしてきます > > > 第五回END > > すいません、一部加筆を行ったのですが、前回削除キーを入力し忘れてしまったので削除できません > ごめんなさい 参照先 削除キー (英数字で8文字以内) クッキー情報保存
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