おなまえ Eメール タイトル メッセージ > 「…」 > > 何処なのよー、と一応叫んではみたものの、何か反応が返ってくる訳ではなかった > 元より期待はあまりしていなかったが > > 穏やかな風がサラサラと草を揺らす音だけが耳に伝わる > 風の優しい感触に慌てていた意識も若干の平静を取り戻す > > 「すぅ…はぁ…」 > > 取り敢えず、深呼吸 > 落ち着け、私 > > 取り敢えず、ここはかの有名なサンズ・リバーではないだろう > サボタージュ気味の巨乳死神もいないし > そもそも川ないしね > > 「…取り敢えず死んだ可能性は、ない?」 > > でもあのトラックは死んだだろう、露骨に > > 「むー…あ、携帯あるじゃん!」 > > むしろこんな状況でなぜ気が付かなかったのか > 死んだとか以前に確認は取るべきだろう > 灯台下暗しとはこの事か! > > 明日香はジーンズのポケットに入っている携帯電話を取り出し、アドレス帳を開く > そして迷うことなく自分の頼れる父親である『成城院梓』にカーソルを合わせ、発信ボタンを押す > > 「しっかし私もドジだね〜こんな簡単な事に気がt『お掛けになった電話は、電波の届かない所にあるか、電源が入っていない為、掛りません』…」 > > 何とも、予想通りというか、薄々感づいてはいたけど現実から目を背けていたといか… > > 嫌々ながらも電波表示を見ると、見事にアンテナは一本も立っていない > こんな表示は携帯が壊れて電波を受信できなくなった時以来だ > > 「…」 > > 誰かに連絡できそうな手段は携帯しかもっていないので一旦諦める > > 取り敢えず何かしらの行動を取るべきか、それとも現状維持か、迷うところである > > 「…どうしよう > セオリーに従って何処かに向って歩こうかな…?」 > > セオリーって何だ、と聞かれると答えに困るが、正直な所このまま状況が平行線を辿るのはキツい > だが、下手に動いて状況が悪化してもキツい > > … > > 「…ケセラ・セラ!行動あるのみ!やらない後悔よりやった後悔よ!」 > > 意を決して原っぱから立ち上がる > > ジーンズについた草を手で払っていると、肩に掛けていたバッグが地面に落ち、バッグの中身がこぼれ落ちる > > 明日香はその中の一つに目をつけた > > 「…そういえば、どうしようもなく困った時に見なさいって言ってたっけ」 > > 学校でも私用でも、持ち物にいつも忍ばせているお守り > 父親である梓、母親である由紀が小学校の時に渡してくれた物だ > 布に包まれた上に頑丈な紐で結ばれており、一回も開けたことはない > > 「…開けて、みようかな」 > > 蝶結びになっている紐を解き、包んである布を開く > > 「…旧式の情報端末?」 > > 少々分厚い(5〜7mmだろうか)銀色と黒のカード型情報端末 > 何年も前に生産が中止されたシリーズのものだ > > 「えっ〜と…あ、点いた」 > > 電源を探し、スイッチを押す > > 会社のロゴが表示された後、画面が表示される > > 開示された状況は三つ > > 以下の項目から現在の状況を選べ > > 『正体不明の何か、あるいは誰かから襲われている』 > 『自分の体に予期せぬ何かが発生している』 > > そして― > > 『何らかの行動の後に、自分が知らない場所におり、帰還方法も分からない』 > > 「これって…!?」 > > どういう事だろうか > 両親は自分がこうなる事を何らかの形で予期していたとでも言うのだろうか > > 上記の二つの内容も気になるが、今は三つ目を選択し、両親からのアドバイスを得ることが重要だろう > > 「えっと…タッチパネルだから…」 > > 慣れない操作に少々戸惑っていた、その時 > > 「―!」 > > ―ゾクリ、と背中に悪寒が走る > > 先ほどより少し強くなった風の音と、それが発生させる木の葉が掠れる音で全く気が付かなかった > > ―得体の知れない、“ナニカ”の気配 > > 「あ…う…」 > > 言い知れぬ恐怖を抑え、恐る恐る後ろを振り返る > > そこには― > > 「フッー……フッー…」 > > ―見た事もない、異形の姿だった > > 「キャァァァァァァァァァ!!」 > > > > > 第3回へ続く 参照先 削除キー (英数字で8文字以内) クッキー情報保存
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